オーストラリア文化

俺達はSEXに金なんて払わない!

2024年4月29日

ある日のこと、Patrickが「男友達と二人でフィリピン旅行に行く」と自慢気に電話してきました。「そう、男二人で羽目を外してProstitute(売春婦)を買いに行かないでね」とからかうと「俺達はSEXに金なんて払わないんだ!」とマジギレされました。

 

その時点で私はまだ気がついていなかったのですが、オーストラリアに於いて性をお金で買うというのは、とても低俗で恥ずかしいことであり、それは女性だけでなく、多くの男性にも共通して持たれている概念であったようなのです。

 

お金を払って性行為に至るということは、この国ではまともに女性に相手にされない男性が仕方なく取る最終手段で、男同士でもそれがばれた場合は軽蔑に値するようです。

 

もちろんオーストラリアにもいかがわしいお店は存在していて、売春宿だとか、アジア人の女の子が裸でマッサージをしてくれるお店だとか、アジア人女性専門エスコート(出張サービス)などの看板や小さな新聞広告記事をよく目にします。アジア人専門の店には韓国人や中国人、タイ人などのワーホリや学生が働いていて、少数派ながら日本人のワーホリがいることもやはりあるらしいです。男性にも好みがありますので西洋人系かアジア人系に売春宿も差別化されている模様です。

 

ただその需要に関して、日本のそれとは大きな意識の違いがあります。日本では仕事のつきあいや接待でお客様や職場の上司と一緒にヘルスやピンサロに出向いたり、自動車整備工場の社員旅行で東南アジアに行き、男性ばかりの職場なので旅行会社がその夜をお膳立てしたりする、というのは悲しいことですが往々としてありますよね。日本や韓国など、東アジアの文化として男同士のビジネス接待には何らかのSEXが絡んできて、それが未だに当然の文化として、その妻や彼女達もある程度覚悟しておかなくてはいけないのが現実です。

 

それ故日本や韓国の男性達は老いも若きも何らかの形で性をお金で買った経験があり、それが本番有りであろうがなかろうが、家族や彼女には堂々とは言えないことだけれど、職場の女性スタッフにそれがばれたとしても特に大事になることはありません。

 

私の働く英語学校のボス(オーストラリア人独身男性)が韓国出張に赴き、取引先とディナーをした後、カラオケに行こうと言われ連れて行かれたところはただのカラオケではなく、歌っていると女の子達が登場し、徐に服を脱ぎ、性的行為を働く場所だったと私に苦笑しながら報告してくれました。敬虔なクリスチャンの彼にとってはショックが大きかったようで、次にそこを訪れたときに「今晩例のカラオケだったら行かない」と伝えると、その取引先はスタッフ一同それを楽しみにしていたので腹を立てた、と言っていましたが、私にとってはその取引先の方がよっぽど失礼な輩だとつくづく感じられます。

 

私自身2008年下半期には2回タイ出張に出ましたが、そこでのSEX産業の盛んさには辟易としました。そしてそれを求める男性の多いこと。出張に出る前から男友達に「タイに行くと白人男性だというだけでモテモテになれる」と聞いていたのですが、友人の言うとおり、あちらこちらに白人男性とタイ人女性、もしくは日本人ビジネスマンとタイ人女性のカップルを見かけました。それが見ていて気持ちの良いものでは全くなく、いかにもお金で成り立っているような関係がありありと滲み出ていて私は出来る限り彼らから目を背けるようにしていました。

 

日本人男性とタイ人女性のカップルの場合は、たいてい男性は中年で、地方で中小企業を営んでいる会社社長と言った雰囲気、お世辞にも上品とは言えない立ち居振る舞いでげらげら笑いつつ偉そうに日本語でタイ人女性に話しかけています。女性の方も日本語がとても達者で上手に会話を成り立たせています。

 

白人男性とタイ人女性のカップルの場合は、男性はこれまた中年で(若者同士のカップルというのはゼロに等しいほど見かけません)、デブでブサイク、自国でモテないからタイに来ているのが見え見えです。

 

上記はその二人の関係であって私がとやかく口をはさむものでは全くないのですが、Patrickが「俺達はSEXに金なんて払わないんだ!」とマジギレしたのもこれで説明ができます。見るからにCHEAP。私はそのCheapな男性達とPatrickを冗談にも一緒にしてしまったのです。

 

いつだったか以前の職場の同僚Wayneが日本人の男友達と一緒に東南アジア旅行に行ったときの話をしてくれたのを覚えています。昼間ビーチで寝そべっているとその日本人男性が「女を買いに行こう」と誘ってきたので「絶対に行かない」と言って断ると、結局その友人は一人で出かけ、数時間後にやにやして戻ってきたそうです。そのにやけ顔がWayneにとって胸くそが悪くなるようなものに映り、「貧しい人にお金を渡して自分の欲求を満たそうとする行為に吐き気がする」と罵り、しばらく口をきかなかったと言っていました。

 

その文化にどっぷりつかっているとそれが至極当然のことであり、全く違う考えの世界があるなんてことを普段は考えもしませんよね。日本でOLをしていたころ、社員旅行でタイに行ったときに男性社員全員、未婚者も既婚者も、新婚さんも18歳も、みんながみんな夜女の子を買いに出かけ、次の朝ツアーバスの中でそのSEXがどうだったかを私の存在など全く構わず話をしていたことがありますが、今考えればそれってすごいセクシャルハラスメント。今の職場では絶対にありえません。

 

どっちの文化が好きかって?もう断然私はオーストラリアが好き。この性産業に関してはアジアも早く欧米化されるべきだとルンルンMiKAは断固意見します!

 

*この記事は2008年12月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

*2024年追記:時代は流れ、日本や韓国でも、こうしたセクハラはもう当たり前ではなくなったのでしょうか?業界にもよるかと思いますが、大きく改善されていることを願います。

 

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