オーストラリア・シドニー | オーストラリアで仕事

オーストラリアで仕事をするということ

2019年10月24日

私は来豪以前、日本の片田舎でOLをしていました。その職場はとても昔気質なところで「男は第一線、女は補佐とお茶汲み」という体質を絶対に変えようとしない会社でした。私は仕事に対するやる気だけは人一倍あったので度々上司と衝突し、悶々とする日々を送っていました。

現在はこうしてオーストラリアローカル企業で仕事をすることができ、お蔭様で男女差別という苦しみから解放され、晴れ晴れとした気持ちで毎日仕事をしています。

当然のことながらオーストラリアでの職場事情と日本のそれとでは大きな違いがあります。良きにつけ悪しきにつけ、オーストラリアで仕事をするためにはその違いを理解する必要があります。これからオーストラリアで仕事をしたいと考えているあなたのためにいくつか例を挙げてみましょう。

先ず日本でありがちな前述の男女差別、それから年齢差別。これらはほとんどないと思ってもらって大丈夫でしょう。年配の人がぽっと若い職場に採用されることもありますし、「若いから」という理由で責任を任せられなかったり採用を断られたりすることは日本に比べて格段に少ない気がします。

年功序列もほとんどありません。日本は年長者を敬うというのが建国以来の慣わしですが、オーストラリアはそういったアジア文化とはかけはなれています。自分よりもぐっと年下の若者が上司だということはよくありますし、上司だからといって畏れ敬ったり敬語を使ったりすることはあまりありません。先輩後輩関係も無きに等しい。

その企業の雰囲気にも因りますが、基本的には役職に関係なく皆がお互いファーストネームで呼び合います。MrだとかMsだとかをつけて呼ぶのはよっぽどかしこまったときだけ(私の職場では冗談でMr Parry、Ms Tsurutaなんて呼び合うこともときどきありますが)、ましてやDirectorだとかManagerだとかいう役職で呼び合うことは絶対にありません。

年齢差別はないものの、経験重視だということは確かです。経験のある人の方が年輪を経ていることが必然のようですが、途中でキャリアチェンジをしたり、1年の休暇を取って世界旅行をしたりしている人がオーストラリアにはたくさんいるため、ときには年配の人でもその分野では新卒と変わらないキャリアしかない場合もあります。

実力主義のオーストラリアは新卒にもある程度の経験を求めます。これは日本と西洋文化の大きな違いですが、日本の場合新人には企業がトレーニングを施すため新卒には経験を要求されません。それに対してオーストラリアでは、新卒でも経験を求められるため、その準備として大学や専門学校で「インターンシップ」が単位の一つに組み込まれています。オーストラリアは常に即戦力を求めているのです。

次にオーストラリアでの就職に重要視されることは「チームワーク」。職場の皆と仲良く仕事ができますか。チームとなってお互い協力しあうことができますか。コミュニケーション力を常に求められています。

オーストラリアは転職社会です。個人差はありますが、たいていは2年~3年のスパンで転職していきます。転職する理由は、いつまでも同じところにいても退屈してしまうということと、キャリアアップのため、よりよい報酬を求めるため。職種にもよりますが、いつまでも同じポジションにいる人は時には「転職できない能無し」扱いを受ける場合もあり、よほどその企業で良い待遇を受けていない限り転職を目指すのが通常です。
しかしこれらの転職は同じ業界内での移動であることが前提で、全く関連の無い職種をあちこち渡り歩くのは逆効果。深い知識や経験を得ることができず、ダメ人間扱いされるので止めましょう。

大企業に勤めている場合、その企業内で自ら昇進を図るのは常識です。現在与えられたポジションよりも、もっと大きな責任とそれに伴うサラリーを求め、人々は企業内の役職に空きができるとそれに申請します。企業は企業内はもちろん、外部にも求人をかけるので、そのポジションの獲得倍率はとても高くなります。

給与は予め設定されて求人広告に掲載されている場合もありますし、交渉で決める場合もあります。次の職場で今よりも有利なお給料をもらわないと転職の意味がないため、面接でお給料交渉をすることもしばしば。言い換えれば同じ役職でも交渉次第で多いことも少ないこともあり、人々はそれをできる限り有利にするため、レジュメを工夫したりリファレンスレターをつけてみたりします。

新しく企業に就職するときには「Job Description」と呼ばれるその役職での仕事内容を確認しなくてはいけません。ある程度の規模の企業であればそれをきちんと文書に表し、満足であれば同意書に署名をして契約成立なのですが、いざ仕事を始めてみて実際にはJob Descriptionに含まれていない仕事をやらされたり、だんだんと他の仕事が増えてきたりすることがあります。
ここで私が感じる日本とオーストラリアの大きな違いは、オーストラリア人はJob Descriptionに含まれていない仕事を依頼された場合、そこで「えー、じゃあその分お給料を上げてもらわないといけないなあ。」と言うことです。それが叶わないのであれば「私のJob Descriptionにそれは含まれてないからやらない。」ときっぱり撥ね付けることができるのです。すごいでしょう。

オーストラリアは個人の権利が日本に比べてとても確立されていて、仕事の時間が9時から5時と契約書に書いてあれば、例え仕事が途中でも5時ぴったりに人々はオフィスを離れていいのです。それは当然の権利であり、誰もそれをおかしく思いません。私なんかはまだまだ日本人気質で仕事をしているところがあるので、ふと気がつくとオフィスに一人ぼっちだったり、5時10分前に頼みごとをして嫌な顔をされたりすることがよくあります。

無責任でよく忘れる。1ヶ月間のホリデーを取るのは当たり前。口だけは達者なのでミスは屁理屈をこねて決して自分の手落ちとは認めない。

これがオーストラリア人の仕事の仕方。日本人の感覚からすると「え~・・・」と感じることは毎日あります。それでも私はオーストラリアで仕事をするのが好きです。私はよくサービス残業をしますが、それは私が好きでやっていることであって誰もそれを強制しているわけではないのです。私が5時に帰っても誰も文句言いません。私が「それは私の仕事じゃないから。」と言っても誰も咎めません。誰も「女らしくしろ」だとか「まだ若造のくせに」だとか「もう若くないんだから」なんて言いません。
ストレスが少ないからか、皆からりと明るく、オフィスで言い争いになったとしても次の日には何事もなかったかのように笑って一緒に仕事をしています。

だから私はオーストラリアで仕事をするのが好きです。

今日もルンルンのMIKAでした♪

*この記事は2006年8月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

*2019年追記 近頃では日本の大学もインターンシップ制度を採り入れる等して、学生の実務経験を増やそうと努力しているようですね。この10年ほどで日本もだいぶ変わってきたようです。

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