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楽観主義と悲観主義

2023年3月31日

私は仕事柄様々な人と出会い、それがこの仕事の醍醐味だとも思っています。日本人に限らず世界中からの留学生と出会い、国民性やその人個人個人の性格に触れることができ、毎日退屈することがありません。

そうした中で気がつくのが、ニュートラルな事象に対して楽観主義者と悲観主義者の取る行動があまりにも違い、それによって悲観主義者はどうやら損をしているように見受けられるということです。

楽観主義者は英語でOptimist、悲観主義者はPessimistと言い、欧米ではよく「グラス半分のビールを見て、Optimistは『まだ半分もある!』と言い、Pessimistは『もう半分しかない』と言う」と表現されます。要するに物事をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか、という違いですね。

私はオーストラリアに来たばかりの生徒さんによく相談を受けますが、それが単なる相談である場合と、Pessimistであるが故に創りだされた悲観的妄想である場合と2種類あり、前者の場合は相応のアドバイスやこちらの献身でたいていの場合が解決しますが、後者の場合はあの手この手を尽くしても、本人が全てをネガティブに捉えてしまう傾向があるため、なかなか良い方向に進みません。そしてOptimistが気がつきもしないような小さな事を不満に思ったり、いつまでも気にしたりして周囲を惑わせます。

前者と後者の違いがどうやってわかるかというと、前者の場合はたいてい1件の相談のみで終了するのに対し、後者の場合はその方本人が自ら問題を創り出しているがために、1つの件が終了したとしても、また別件、また別件、というように、いつまでもその人に問題がつきまとってしまうのです。そしてそういった方はたいていどの学校へ通ったとしても満足できず、留学代理店も自分のわがままを聞いてくれるところでないと納得できず、色々なところをハシゴして、最終的には不満だらけで終わってしまうのが常なのです。

例えば:
お釣りが50セント少なかった。
Optimist: 「ま、いっか。」
Pessimist: 「ぼったくられた。文句言ってやる。」

授業中にアジアとヨーロッパの文化的違いを比較検討した。
Optimist: 「興味深かった。」
Pessimist: 「人種差別だ!」

ホームステイで食事の量が足りない。
Optimist: 「ファミリーにもう少し多めにしてくれるよう頼んでみよう。」
Pessimist: 「高いお金を払っているのにケチ!エージェントに苦情を言わなくちゃ。」

オーストラリアで暮らすためには自己主張が強くないとやっていけず、不満に思うことは確かに口に出した方がいいし、我慢するのは健康にもよくありません。しかしながら、与えられたもので満足するという気持ちは違う国に来て暮らす上で必要なもので、全ての事象をネガティブに捉えていては、良い方向に物事を進めることができません。自分の欲求を満たすために嘘をついてまで手に入れようとしたり、泣いたりわめいたりして無理やりに主張を押し通したりしたとき、短期間での満足感は得られるかもしれませんが、同時に大切なものを失っていることにPessimistは気がつきません。

Pessimistは得てして細かいことにこだわり、$1でも自分の計算と違うと気に入らなかったり、Optimistが気にもかけない枝葉末節の規約や条件に目くじらを立てることがあるため、いちいちそれを苦情として申し立て、悲しいかな、狼少年のように周囲から「またか」と思われてしまうのです。

オーストラリアに来るということは異文化に身をさらすということで、それによって、もちろんのこと新たな感動があったり楽しい思いをする反面、辛い思いや苦い経験をしたりすることも覚悟しなくてはいけません。オーストラリアという国は日本と違い、ずっと大陸思考な国で、なんでも”適当”にことが進みます。友達同士の約束なんかもその日の気分次第でみんな適当に集まったりするし、バスや電車の時刻表もあって無いようなもので、来るときには来る、遅れるときは遅れる、全てはそのとき次第なのです。オーストラリアに来たばかりの日本人はその適当さに最初はとまどいますが、だんだんとそれに慣れていき、終には心地良さまで感じます。その適当さにいつまでもなじむことができないのであれば、もしかしたらあなたには日本が一番合っているのかもしれませんね。

それではOptimistの場合、細かいことを気にしないから、時にはお人好しに損をしているのではないかというと、そうではないと思うのです。確かに小さなレベルでは損をしていることもあるかもしれませんが、本人はそれに気がつかずにHappyに過ごしてしまったり、常にPositiveでいるので周囲から好かれ、友人も多く、英語力もめきめき上がります。フレンドリーなオージーから話しかけられて友達になったり、行きつけのカフェで特別にケーキをつけてもらったりすることもあるでしょう。

もちろんOptimistだって苦情を言うことがあります。それは確かにその必要があるときであり、例えば大勢でレストランに食事に行き、みんなが食べ終わりかけているのに自分のオーダーしたものだけ出てこない、といったシチュエーションです。

この場合、できるだけ上手に苦情を言いましょう。これはウェイターがキッチンにオーダーし忘れたのか、それともキッチンが一皿料理し忘れてしまったのか、それともあなたがオーダーした魚をフィッシュマーケットに買いに行っているのか、何が理由で遅れているかあなたにはわかりません。もしかしたらシェフがへそを曲げているかもしれなく、頭ごなしにウェイターに怒りをぶつけては可哀想です。一言「私のメイン、なぜ遅れてるのかキッチンに確認してもらえない?」と尋ね、ウェイターが青い顔をしてキッチンから戻ってきたら、「仕方ないから待っている間もう一杯ワインをもらおうかな」なんてウィンクしながら言ってみて下さい。きっとそのワインはサービスで出てきますから。

苦情でさえも、ポジティブに捉えることができるようになれたらいいですね。Don’t worry, be happy.
今日もルンルンのMiKAでした♪

 

*この記事は2007年6月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

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Image by Colin Behrens from Pixabay

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