オーストラリア・シドニー | オーストラリア国際恋愛

キッス XOXOX

2017年6月17日

とある晩、シドニーのとあるバーでの会話。

 

Mike:「なんだか君にとてもキスしたくなってきたんだけど。」

私:「じゃあエスキモー流でしよう。エスキモーがどうやってキスするか知ってる?」

Mike:「知ってるよ。」 ― 彼の鼻の頭を私の鼻の頭にこすりつける。

私:「よくできました。」

Mike:「日本人はどうやってキスするのか見せて。」

私:「日本人はキスしません。」

Mike:「マジで?じゃあ、オージーがどうやってキスするか見せてあげようか。」

私:「知ってるから大丈夫。」

 

10歳ほども年下の男の子とこんな会話をしたことがありますが、オージーは若くても女性を口説くことに長けてますねえ。

 

「日本人はキスしません。」と言ったものの、実際恋人同士はキスしますよね。でもそれはどうやら戦後欧米の影響を受けて始まった風習らしく、それ以前の時代の人はキスなどしたことがないらしいです。その証拠に私の78歳になるお祖母ちゃまは「そんなの人生の中で一度もしたことない。」と私に暴露してくれましたし、数年前に日本で「戦前のおばあちゃん達は例え子供がいてもキスした事が無い」ということを調査するテレビ番組を見たことがあります。

 

だからこそだと思いますが、日本人にとってキスとは愛する者同士だけに許された、とてもスペシャルな物としてとらえられていて、挨拶のためのキス、というのは日本文化には存在していません。ハグも同様に、挨拶で抱き合う、というのは友達同士ではあまりしないことですよね。

 

しかしここはオーストラリア。挨拶にハグやキスはつきものです。久しぶりに友人や家族に出会ったときなんてその喜びを表すために必ずハグかキス。私の働いている英語学校のオフィス内でも、例えば私が日本出張から帰ってきたその日はハグ、ハグ、ハグOOOO。しばらく一緒に働いていたインターンシップ生の最後の日もハグ、ハグ、ハグOOOOO。特別にお誕生日プレゼントをもらったときはほっぺにキス、キス、キスXXXX。1年近く勉強していたフランス人の学生が帰国するときもキス、キス、キスXXXXX。

 

オージーの友達と遊びに行った帰りの別れ際、男女関係無くほっペにキスしてお別れの挨拶。それがもし夜、車で家の前まで送ってくれたなんて場合だったら感謝の意をこめて必ずします。

 

そんな生活を繰り返しているうちに私はだんだんかぶれてきてしまいました。日本人同士でも、偶然街角で久しぶりの友人に出会ったとき、思いがけないプレゼントをもらったときなんかはハグやキスをしてその喜びを表したくなってしまうのです。

 

最近の私にとって、友人のフェアウェルパーティだとか、楽しい夜を一緒に過ごして家まで送ってくれたときなんかにハグもキスもなく別れてしまうのがなんだかとてもとても素っ気無く思えてなりません。例えそれが日本人同士であっても。

 

ある晩私は在豪ン十年になる日本人男性と飲みに行き、車でアパートまで送ってもらいました。その方は私にとって大先輩で、人生においても仕事の面においても尊敬の念を惜しまない方です。わざわざアパートまで送っていただいたしほろ酔い気分も手伝って、別れ際にほっぺにキスをしようとしたのですが、その方はものすごい速さで上体をのけぞらしてそれを避け、「何するんですか、酔っ払ってるんですか?!」と言うので、「いや、おやすみなさいのチューを・・・」と消え入りそうな声で返答すると、「しません、しません!はい、帰って!」と私を車から押し出し帰って行きました。

 

私は瞬時に酔いから覚め、その後は自己嫌悪。たとえ在豪ン十年の人でも日本人が相手ならキスしないほうが良かったのかしらん。

 

どうも納得のいかなかった私は複数の日本人の友人に聞いてみたのですが、皆さん答えがばらばらであまり参考になりませんでした。

 

「MIKAちゃんが僕にキスしてもおかしくないと思うけど、もしかしてMIKAちゃん、今欲求不満?」(日本人男性・英語学校勤務) ― 私を欲求不満扱いするということは、つまり単なる挨拶のキス以外の何かとこの人は勘違いしているようです。

 

「私は挨拶のキスするよ。MIKAちゃんともするでしょ。」(日本人女性・社長秘書)

 

「私はしない。」(日本人女性・大学生)

 

「えー、全然普通にする。うちの学生にもする。」(日本人女性・英語学校勤務)

 

「それってかなりかぶれてると思う。オージーにもこっちからはしないし、ましてや日本人同士なんて絶対にしない。」(日本人女性・一般事務)

 

シドニーで出会って今は日本に帰国した友人のうちの一人は、帰国して2年経った今でもまだハグ癖が治らず、何か嬉しいことがあったり友人と永の別れをしたりするときにはハグしないと気が済まず、周囲から変人扱いされていると言っていました。彼女はまだ20代の女性なので許されているのでしょうが、これが男女逆だと難しいかもしれませんね。

 

ということで、私は自分の中でルールを作りました。

日本人男性には、挨拶のキスをこちらからはしない。

これが一番安全でしょう。

 

日本人同士でキスするかどうかは別として、欧米では挨拶のキスというのはとてもポジティブな意味を持っています。できれば我々も躊躇せず、それを受けたり返したりしたいものですよね。今日もルンルンのMIKAでした♪

 

*この記事は2006年6月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

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