オーストラリア・シドニー | オーストラリアに於ける日本

ビザの種類で住む世界が変わる?―在豪日本人社会のカテゴライズ-

2019年10月23日

私はもともとワーキングホリデーメーカーとして2001年にオーストラリアにやって来ました。
それから早5年。数々の出会いと別れを繰り返し、現在私の日本人における友人関係はそのほとんどが数年以上オーストラリアに滞在している永住権保持者、ビジネスビザ保持者、大学・専門学校生で、考えて見ればワーホリ、語学学校生の友人は皆無。

シドニーにある英語学校に勤務しているため当然のごとく生徒さんに知り合うチャンスは無限にありますが、実際に友人として交流を育むことはありません。それはなぜでしょう?
簡単に言ってしまえば、私の場合在学生と個人的なおつきあいをすることを社則によって禁じられているからです。

それでは職場以外の場所でワーホリのお友達と出会うチャンスがあるかというと、それがまた難しいんですねえ。
正社員として働いているためにもはやジャパレスでアルバイトすることもないし、サッカーをするわけでなし、野球をするわけでなし、シェアメイトがいるわけでもないので私の生活というのは、ワーホリさんが現れるチャンスが非常に少なくなってしまっているのです。

実際に自分がワーホリをしている頃は、お友達が他の英語学校で勉強している友達を連れてきたり、ジャパレスでバイトしていれば3ヶ月ごとに誰かが入れ替わるためにたくさんの新しい出会いがあったり、ワーホリ、語学学校生同士での交流はひっきりなしにあったような気がします。
でも思い起こして見ればその頃は永住権保持者やビジネスビザ保持者、という友人は全くいませんでした。
この狭いシドニーの中で絶対的に存在している日本人同士が何故出会わない?
それは同じ日本人でもそれぞれが下記のような別々のカテゴリーの中で生活しているからです。

【ワーホリ・語学学校生のカテゴリー】

オーストラリアに来たばかりの人達はそのほとんどが先ず英語力を習得するために心血を注ぎます。英語学校へ通い、オーストラリア慣習に慣れようと努力し、学費やホームステイ費用のために生活を切り詰めます。アルバイトを始めたとしても時給が低かったり、週20時間に限定されたりしてなかなか思うように稼げない。そうすると娯楽はなるべくお金をかけないことに限定されてしまいます。交通費を抑えるため日本にいたころには考えられないほど長い距離を歩いたり、欲しい服があっても見ないふりをしたり、美容室に1年間行かなかったりします。

生息地:City・Bondi・Chatswood・Pyrmont等

出没地:タウンホール周辺・マロニーズ・Bar ACE・JUJU・食通天・Seoul-ria・Star Bar・シャークホテル・タウンホールクリニック・留学エージェント・英語学校キャンパス周辺等

【専門学校生・大学生のカテゴリー】

ワーホリの1年が終わり、ビザを切り替えて専門学校へ進学してからは多少ゆとりができます。英語もある程度できるようになったし、時給も結構上がったし、シフトも優先的に入れてもらえる。しかしながら週20時間までの労働可、という残酷な学生ビザの条件により、懐が潤うというところまではいきません。
専門学校、大学時代は学業とバイトの両立に苦しむ時期。娯楽にかける時間はあまりないでしょう。
最大の関心事はもはや「いかにして英語力をつけるか」ではなくなり、「いかにしてより良いバイト先を見つけるか」「いかにして単位を取るか」「いかにして永住権を取るか」。

生息地:Ultimo・Artarmon・Crows nest・Chatswood・Surry Hills・Glebe・Strathfield等

出没地:学校キャンパス周辺・バイト先・ショッピングセンター等

【永住権保持者・ビジネスビザ保持者のカテゴリー】

努力の末永住権やビジネスビザを取得してフルタイムで仕事を始めると収入はある程度安定します。贅沢はできないけれどもワーホリ時代のような貧乏生活は必要なくなります。
仕事でストレスがたまればリラクゼーションを求めてアロマセラピーに凝ってみたりマッサージに通ったり。仕事用にこぎれいな服を買ったり、ネイルアートに興じてみたりする余裕も出てきます。
シェアから脱出してパートナーと一緒に暮らすこともあるでしょうし、同業の友人と食べ歩きをしてみたり、小洒落たバーに出かけてみたり。飲みに行った帰りは面倒くさくてタクシーで帰宅することもしばしば。
関心事は「いかにして将来の伴侶を探すか」「いかにして昇給するか」「いかにしてキャリアアップするか」「いかにしてタックスリターンを有利にするか」。

生息地:Frenchs Forest・Mosman・North Sydney・Rockdale・Manly・Ashfield等

出没地:Wynyard周辺・日本クラブ・うまいもん・カラオケ・なるべく日本人のいなさそうな所等

上記のように同じ海外在住の日本人でも経済的事情や価値観の違いにより大まかなカテゴリーが出来上がってしまい、【ワーホリ・語学学校生のカテゴリー】と【永住権保持者・ビジネスビザ保持者のカテゴリー】は少し離れたものとなってしまうのが現実です。
それによりなかなか交流のチャンスがない。
ただし中間にいる【専門学校生・大学生のカテゴリー】は往々にして両方と交わります。【専門学校生・大学生のカテゴリー】に入りたての人はまだ【ワーホリ・語学学校生のカテゴリー】の友人達をたくさん抱えているだろうし、【永住権保持者・ビジネスビザ保持者のカテゴリー】にようやく属することができた人は【専門学校生・大学生のカテゴリー】にいるころ同じように努力して励ましあってきた友人を忘れるわけがありません。ビザの種類が違ってしまっても経験値は同じです。

実はもうひとつ、在豪日本人社会の中には【駐在員のカテゴリー】というものが存在するのですが、今日のところは長くなってしまうのでこの辺で。これに関してはまた来週掘り下げましょう。

私は5年間の間に【ワーホリ・語学学校生のカテゴリー】【専門学校生・大学生のカテゴリー】【永住権保持者・ビジネスビザ保持者のカテゴリー】の全てを辿ってきました。
ワーホリの頃は本当に貧乏生活をしていて、ゴミ捨て場で拾った傘を修理して使っていたほどです。現在はそれに比べるとかなり余裕のある暮らしをしていますが、ときどき5年前を思い出してはようやくなんとかかんとか一人立ちできるようになった今に感謝しています。
その間に出会って助けてもらったたくさんの人達に感謝。苦しいときに支えあった友人に感謝。永住権を目指してがんばっている同士にエールを送ります。

今日もルンルンのMIKAでした♪

 

*この記事は2006年7月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

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