オーストラリア・シドニー | オーストラリア暮らし

自分が自分らしくなれるオーストラリア

2019年12月2日

私がオーストラリア留学を皆さんにお勧めする理由のひとつに、「自分が自分らしくなれる」ということが挙げられます。これはきっと日本という国を出て初めて気がつくことだと思いますが、日本に住んでいると常に何かの「型」にはまっていなくてはいけないような気がしてならないのです。例えば「年齢の型」、「性別の型」、「職業の型」、「世間体」等等。例えもしそれに自分がはまりたくなくても世間が無理やり押し込めようとする。もしそれに反発して型にはまらないでいると変人扱いを受けてしまいます。日本生まれの日本育ちであればそれが当たり前なので何も疑問に思わずそういった型を受け入れているのが普通でありますが、いったんそうでなくてもいい世界を知ってしまうと「ああ、なんて気楽な世界があったんだ・・・」と初めて鎧兜を外した兵隊のような気分を味わいます(ちょっと大袈裟)。

 

第一に、外見。日本ではいつもみんなこぎれいにしていますよね。特に若い女性は頭のてっぺんからつま先までさりげないけれども実は緻密に計算されたファッションコーディネートをしています。持ち物だってきれいにアイロンのかかったハンカチだとか、流行から外れない化粧ポーチだとか、目立ちすぎず且つ地味に主張するブランド物のバッグだとかに神経が細やかに使われていて、年に2回の出張の際に毎回ハッとさせられます。髪の毛もほとんどの子が茶色く染めていて、それをプロ顔負けにセットしています。留学フェアに来るだけなのに、まるでパーティに参加するような格好の女の子達はいつも私の目を楽しませてくれます。

 

かくいう私も24歳でオーストラリアの土地を踏むまではそんな感じだったんです。それがワーホリの1年でかなり変わりましたね。そのまま捨てて日本に帰国しても惜しくないような服しか持って来なかった上、ものすごい貧乏だったので新しい服もほとんど買わず、美容院にも行かず、化粧品も買わず、交通費を削減するために長距離を歩くので履物はいつもスニーカー。盗まれることを恐れてブランド物のバッグなんて最初から持ってきていませんでした。

シドニーに着いたばかりの1ヶ月ほどは日本での記憶がまだ残っていてつけまつげをしたりしていたのですが、そのうち目化粧自体が面倒くさくなり、マスカラを買う余裕もなくなり、外に出るときは日焼け止めのためにファンデーションを塗って眉毛を書くだけとなってしまいました。化粧直しもしません。髪もドライヤーで乾かしっぱなしかヘアクリップで留めるだけ。周囲もそんな感じで皆ナチュラルなので私は違和感なしにそれに溶け込んだものでした。

 

日本は国全体で「美肌」を叫んでいますよねえ。毛穴だとかしみ・そばかすだとか、化粧品産業のプロモーションと言ったら日本のそれは殆ど洗脳のようで、紫外線が怖くてオーストラリア留学を諦めてしまう人もいるほどですよね。もちろんオーストラリアでも肌がきれいなことに越したことはありませんが、日本のように白ければ白いほど良い、という概念はなく、白いと病気っぽく見えるために小麦色に焼きたい人もたくさんいます。だからホワイトニングのための化粧品は豪州ではほとんど販売されていません。毛穴ケアも日本のように徹底的にテレビCMされているわけではないのでそんなことを気にしていない人の方が大半でしょう。

 

髪の色も、日本だったら「茶色じゃないとダサい」というイメージがあるようですが、オーストラリアは素材勝負。髪は傷みがなく自然に美しい方がいいのです。当然ファッションのために染める人もたくさんいますけど、日本人のように「みんな茶髪」ってわけではありません。ハイライトを入れたり、もともと茶色い髪の人が黒にしてみたり、ブロンドにブリーチしたり、それぞれの個性を出しています。「みんなそうだから」というわけでなく、「自分の好きにしている」のです。

私自身は渡豪して最初の数年は茶色にしていましたが、今は何も手を加えず真っ黒です。生まれつき茶色や金色をした人がたくさんいるこの国でなぜ私が敢えていつも茶色くしている必要があるのか、と考えるとなんとなく染めるのを止めました。「型にはまる」のを止めたのです。

 

ときどき日本に帰ると「過剰包装」が気になります。デパートで買い物をしたりすると箱をさらに包装紙で包み、その上手提げ袋に入れてくれますが、家に帰って開けてみると箱の中には更にビニール袋に包まれ、そしてもう一段階個包装されている状態の和菓子があり、私が食べたい中身にたどり着くまでかなりの資源が無駄使いされていることに大きな罪悪感を抱かされます。これも日本で贈り物をするときは「見かけが一分の隙も無く美しく、粗相のないように」という型のひとつだと思います。オーストラリアだったらスーパーのレジ袋に裸のまま入れて「Here you go」って感じですよ。ケーキだったら紙袋にがさっと入れられ、形が多少崩れようとオカマイナシ。

 

私にとってもっとも気にならなくなったのは年齢だと思います。日本にいたら「30歳らしく」と心がけていることでしょうけど、オーストラリアでは「30歳らしいって何?」と先ず問いたい。ショートパンツを穿こうが、Roxyのビキニをつけようが、へそピアスを開けようが、タトゥーを入れようが、そんなの私の勝手です。30歳ぎりぎりでワーホリに来た人(俗にギリホリと呼ばれる)が日本では絶対にありえないけどジャパレスでウェイトレスをしようとも、10歳年下とつきあおうとも、親にお金を借りて大学に行きなおそうとも、35歳になっているのにアルバイト雇用でカフェで働いていようとも、そんなこと本人が良ければどうだったいいのです。そして周囲も何も気にしません。

 

友人のうちの一人は「時間を気にしなくなった」と言います。私もそういえば日本にいたころはいつも時間に追われていたかもしれません。そもそも働く時間がとても長い上に、買い物に費やす時間とか、エステに行く時間とか、渋滞や移動のための時間だとか、友達と話を合わせるために見る映画や雑誌やテレビ番組にかける時間だとか、プライベートでも「何時に何をして、どこに行って・・・」と時間に追われていたのが常だったような気がします。友人もみんな忙しいために皆のスケジュールを合わせるのは一苦労。1ヶ月くらい前から予約をいれておくのは常識でした。

でもこちらではその日突然「今日飲みに行かない?」って感じで数人が集まってしまう感じ。逆に前もって計画しておくと忘れられたりしてることもあってそのいい加減さがとても気楽です。

 

そんな型にはまらないオーストラリア生活。ムリせず、マイペースに生きられる気がしませんか?自分が自分らしくいられるこのオーストラリアで、私は自分らしく年齢を重ねて行きたいと思っています。

 

アロマセラピー技術は世界的に見てオーストラリアがトップだと感じる今日この頃。自然を使ったリラックス法はオーストラリアそのものを表しているような気がします。今日もルンルンのMIKAでした♪

 

*この記事は2006年11月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

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Photo by Matthew Henry from Burst

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