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インターンシップのすゝめ

2020年1月2日

インターンシップとは何か。

Yahoo!辞書を開いてみると「会社などでの実習訓練期間。学生が在学中に自分の専攻に関連する企業に体験入社する制度。体験就業。」と出てきます。

私が勤める英語学校は充実した企業インターンシッププログラムで有名で、ドイツ人の生徒さんを中心に人気を博しています。2005年以降それまでは全くなかった日本人の参加者も突然増え出し、私の元にはお問い合わせのE-mailがほぼ毎日舞い込みます。

留学もあまり珍しくなくなった今日、英語だけではなく一歩進んだ経験を求めて日本の留学業界はインターンシップに着目したようです。近頃では猫も杓子もインターンシップ。有給、無給、ホテルインターン、看護インターン、福祉インターン、幼稚園インターン、ビジネスインターンと冠をたくさんつけて引っ張りだこのインターンシップ様ですが、実際にそれがどういうものなのかを理解している人は一握りだと思われます。

例えば私の勤める英語学校に直接お問い合わせに来たワーキングホリデーの方がいるとします。どうやらインターンシッププログラムに興味があるようなので「どんな分野でインターンシップをしたいんですか?」と尋ねると「え・・・?インターンシップがしたいんですけど・・・」という返事が戻ってくることがあります。ここが日本人とドイツ人の生徒さんとの大きな違いです。例えばドイツ人の生徒さんは「自分は今大学でマーケティングを勉強しているからマーケティングの分野でインターンシップをしたい。」とか「ドイツでイベントマネージメントの仕事をしていたから同じ関連でキャリアアップのためにインターンシップを望む。」といった感じで目的がはっきりしています。

しかしながら日本の方はそのほとんどが「インターンシッププログラム」という漠然としたイメージだけを持っていて、「オーストラリアローカル企業でオフィスワーク」であればそれで良し、といった感があります。オフィスワークといってもその中には一般事務、営業、企画、IT、人事、経理、といった感じで実際は色々な分野に分かれているのですが、その中身はどれでもいいからとにかく「海外で働いた経験」そのものが重要だということなのでしょう。

そういったインターンシッププログラムのイメージのみが先行している現状は、ここ最近のインターンシップブームによる学校や留学エージェントの宣伝による影響が大きいのだと思います。ウェブサイトや留学情報誌に載せるインターンシップ体験記は当然良い経験談しか書かれていませんし、小さな失敗よりも大きな成功例だけが目立つように世間にお知らせするのは私の仕事ですから。

ただ、それに踊らされてばかりではいけないのです。例えば当校のインターンシップ例のマサユキさんがどれくらい陰で努力したのか、何社面接を受けたか、インターンシップコーディネーターのReeda(リーダ)がいったい何件ホストカンパニーに電話をしたか、という裏舞台があってこその成功だということを皆さん、忘れてはいけません。誰でもインターンシップをすれば即成功、という訳ではなく、本人の地道な努力に成り立っているのです。

よくあるのが「インターンをしたらそのままその企業にビジネスビザを取ってもらって就職できるか」というお問い合わせ。決して不可能ではありません。ただし、可能性はものすごく低いです。他の国ではまだありえるのかもしれませんが、オーストラリアはもはや昔ほど人口が不足しているわけでもなく、特別な専門職でない限り、たいていのオフィスワークは現在オーストラリアにいる人材で賄うことができます。

もちろんインターナショナルなビジネス分野で「日本人が欲しい」という場合は日本人限定で募集されることもありますが、そうした場合でも、有能なワーキングホリデーを6ヶ月毎雇ったり、永住権保持者を探したりしてめったにビジネスビザまでは辿りつきません。ビジネスビザを供給することは会社に取っても負担がかかることであり、類まれなるパフォーマンスを見せない限り、ビジネスビザへの道は開かれないでありましょう。但し、繰り返しますが絶対に不可能ではありません。当校のインターンシッププログラム参加者の中で前例はあります。

人は何故インターンシップをするのでしょう?日本では新卒の社員教育は企業がしますが、欧米では常に即戦力が求められているため新卒でもある程度の経験を求められます。それによって大学や専門学校での単位の中には必ずインターンシップが組み込まれているのです。ドイツ人の生徒さんはそれを英語圏でするために当校に来るわけですが、日本人の生徒さんの場合はまた少し目的が違うような気がします。

1.海外での就労体験でキャリアに箔をつける(インターン後にもらえるリファレンスレターも重要)

2.実際に日本で就職する前にその分野に自分が本当に合っているのか試したい

3.生のビジネス英語に触れることができる

4.自分の英語がどれだけ通用するのか試したい

5.オージーの友達を作るチャンス

充実した海外経験が得られ、帰国後の就職にも有利、更に海外就職にも有利という上記のような理由からインターンシッププログラムに参加される方は日増しに増えてきています。

インターンシッププログラム参加者のほとんどが当校のビジネスイングリッシュコース(上級レベル)を修了してからインターンに臨みますが、それでもインターン先でコミュニケーションに自信をなくす人がいますし、電話を取るのも緊張する人ばかりです。ヨーロピアンの生徒さんはコミュニケーション力に長けているのですいすいとこなしますが、日本人はその文化的背景から不安を覚えたり、自信喪失したりすることもままあります。そんなときは違う方向から自分の才能を発揮するようにしてみてください。例えば仕事の丁寧さ、速さなら日本人がピカイチだということを見せつけてみたり、電話の応対は苦手でも細かい気配りは得意だということをアピールしたり、時間を守る、笑顔を絶やさないなど、できることはなんでもしてみてください。最初はなじめなくてもしばらくしたらきっとそのオフィスにとって欠かせない一員になっていることでしょう。

当校では粘り強くて心優しいコーディネーターReeda(リーダ)があなたにぴったりなインターン先をご紹介します。何百人ものインターンシップを配属してきた彼女、実績が違います。

ある日本人インターンシップ生がインターン先で心ときめく三角関係に陥りました。私もインターンシップしたいなあと思う今日この頃。今日もルンルンのMiKAでした♪

*この記事は2007年1月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

*2020年追記:最近は日本の大学もインターンシップを単位として取り入れることが多くなったそうですね。ところで私の勤めていた英語学校は、残念ながら2019年に閉校となってしまいました。敏腕コーディネーターのReedaは現在姉妹校で仕事を続けているそうです。

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Photo by Sarah Pflug from Burst

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