オーストラリア・シドニー | オーストラリアで仕事

ワーホリバイト事情

2023年3月10日

私はワーホリ出身なので、オーストラリア生活は文字通り下積みから始めました。2001年にシドニーの地を踏み、お金がなかったので4週間だけ英語学校に通い、Pre-intermediateレベルからスタートしました。4週間経って卒業する頃、次の進路を考えるときに、こんな英語じゃジャパレスでもアルバイトできないと思い込んでいました。

 

アパート探しもうまくいかず途方に暮れていたところ、見かねた私の留学エージェントが「住む込みで日本人のおじいちゃんの世話をする仕事を短期でしてみない?」と誘ってくれ、面接に行ってみるとものすごい豪邸で、宿泊費や食費は無料、そのうえ週$150のお給料までもらえるということで二つ返事でOKしました。

 

その2ヶ月間のお仕事の後、私は改めて英語学校に行きなおし、Upper intermediateレベルで卒業したものの、まだまだ英語に自信がありませんでした。それでもアルバイトをしなくては、と切羽詰った勢いでジャパレスのウェイトレス求人に私も応募してみることにしたのでした。

 

今は無きそのレストランは、ダブルベイにある高級ホテルの館内に位置し、レストランに来るお客様はホテルの宿泊客やスタッフ、ダブルベイのセレブなマダム達というハイソな人達ばかりでした。時には本物のセレブリティが顔を見せることもあり、ロックシンガーのJimmy Barnesが定期的に食事に来たり、Natalie ImbrugliaとSilverchairのDaniel Johnsがカップルで現れたり。レストランのすぐ目の前にあるヘアーサロンにカイリー・ミノーグやニコール・キッドマンを見かけたこともありました。

 

そんなレストランでも最初の時給は8ドルから。アルバイトを始めたばかりの頃は、レストランのシステムがわからない上にメニューも把握していないので、何を言われてもわからないことばかり。

例えばオーストラリアでよく見かける巻き寿司の裏巻きって、英語で何と言うのかわかりますか?日本語ですら何という正式名称なのか知りませんが、ご飯が外側になっていて、海苔が内側に巻かれているお寿司で、外側はトビコだとかゴマがふりかけられてるやつです。

実はそのまんまの言い回しですがInside-outと呼ばれているんですね。魚の名前、握り寿司、巻き寿司、手巻き寿司、散らし寿司などの違いをウェイティングスタッフがしっかり英語で説明しないと、オージーのお客様自身も、何がなんだかもともとわからない日本食メニューの上に、更に混乱してしまいます。

最初は英語力の乏しさに自信喪失したものですが、しばらくしてメニューを覚えてしまうと、何とかなるものだと要領を得ました。

 

レストランでのアルバイトは賄いがつくので非常に助かります。売れ残ったテイクアウェイのお寿司をもらえたし、白いご飯も大量に余ることがあるのでお持ち帰りして冷凍。普段の食費はほとんどかかりませんでした。しかもそこの高級ホテルのカフェであまったケーキをもらったり、ルームサービス係に料理を持っていくと、そこのスタッフからクッキーをもらったりなんてこともあり、そのレストランでアルバイトしていた頃はかなり太りましたねえ。

 

勤めていたジャパレスは、経営はずさんでしたが、雰囲気だけは高級なレストランだったので、結構チップをもらうことがありました。でもそれはキッチンも含めたスタッフ全員でわけるために一日の終わりにまとめ、オーナーによってお給料とともに分配されていましたが、本来ウェイティングスタッフのみでわけるはずのチップにオーナーの取り分もかなり入っていたようで、私達の手元に戻ってくるのはほんの少しでした。

 

その後私は学生ビザに切り替え、そのレストランでは計1年以上アルバイトしたことになりましたが、時給は$10.50までしか上がりませんでした。とても景気の悪いレストランだったので仕方ないかもしれませんね。時給は低かったけれど、バイト中にたくさんのお友達ができたのでいい経験になりました。

 

その後私はローカルのレストランに転職したのですが、お蔭様で時給は格段に上がりました。平日は時給16ドル程度、土曜日は19ドル、日曜日は24ドル、祝日は時給32ドル。前述のジャパレスとは違い、ちゃんと税金を払うので手取りはもう少し安いですが、それまで存在すら知らなかったSuper Annuationも支払ってくれていました。自分が担当したテーブルのチップはもちろん自分がその場で受け取ることができ、これぞオーストラリアのアルバイト環境、とほくそえんだものでした。

 

私にとっては最初のジャパレス経験があったからこそ、次のローカルレストランに移ることができたのだと思います。ちょっと小洒落たジャパレスだったので、ワインの開け方やら洋式のサービスの仕方だとかを、その当時いたイタリア人マネージャーにトレーニングしてもらったし、カスタマーサービス英語もある程度心得ていました。ワーホリだった私がいきなりローカルレストランにレジュメを出したところで無視されるのが関の山で、やはり私にとっては英語学校に通い、できる仕事から始め、ある程度経ったら次のステップを踏む、というプロセスが必要だったんですよね。特にその当時ワーホリは同一雇用主のもとで最大3ヶ月までしか働いてはいけなかったので、それが多くのワーホリにとって仕事探しの足かせになっていました。

 

税金を払わずに、経費としてスタッフのお給料を安く支払っている多くのジャパレスは法律違反であり、いかにもワーキングホリデーメーカーの足元を見てはいますが、それでもその需要と供給のバランスは成り立っていて、ローカル企業ではまだ働く準備のできていないワーホリマーケットに仕事を与えてくれる形になっています。それはジャパレスに限らず、お土産物屋の店員だとか、留学エージェントのアシスタントだとか、美容師アシスタントだとかオペアにも同じことが言えるのでしょう。たくさん稼ぐことはできないけれど、収入がないよりずっといいし、何より経験になります。最初のワーホリは下積みと考え、とりあえずは経験のために文句を言わず働きましょう。

 

ワーホリ時代の貧乏さを思えば現在は楽なものです。それでも私はいつも上を目指して「もうちょっとお給料が上がれば・・・」と欲深く皮算用する毎日です。キャリアは一生築いていくものですよね。

今日もルンルンのMiKAでした♪

 

*この記事は2007年2月に某オーストラリア日本人コミュニティサイトに掲載されたものです。

*2023年追記:コロナの影響を受け、海外留学生やワーホリがほとんどいなくなってしまった2020年~2022年の間、オーストラリアではレストラン等の働き手が不足してしまい、困った経営者達は、人手を雇うために高い時給をオファーすることを余儀なくされました。現在ではジャパレスでのアルバイトも平日時給$20~$25だと耳にします。オーストラリアに出稼ぎに来るというワーホリも増え、時代は変わったな~、と思う今日この頃。

*ちなみに当時私が働いていた、このずさんな経営のジャパレス、後々、その経営者は詐欺師だったことが判明しました。この女性詐欺師、パプアニューギニアに逃亡しようとしているところを、シドニー空港で逮捕されたと新聞に載っており、当時のバイト仲間と「なるほど、そういうことだったのね、納得・・・」とうなづいたものでした。

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Image by An SiYu from Pixabay

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